先生vs.コロナ~終戦Xデーまであと★日~

東京の私学の先生がコロナ禍に置かれた教育現場でなんとなく奮闘する物語です。

先生vs.コロナ~終戦Xデーまであと★日-35~

みなさん、こんにちは。

本日、新たに授業のYouTube公式チャンネルを開設することとなりました。

なぜ、そうなったのか?そして、それにはある意味制約条件の中で何を成すかという発想も大切ですが、その制約を根底から疑って覆していくことの大切さを痛感することとなりました。

私が勤務する高校では学校設定科目として「土曜講座」と呼ばれるものがあります。毎週土曜日、1、2年生を対象に2コマ連続授業でさまざまな授業が開講されます。イメージとしては総合学習を思い浮かべてもらうのが良いのではないでしょうか。私は2011年度からコミュニケーションや傾聴・チームビルディングをテーマとした授業を開講してきました。私の授業のコンセプトは、社会人や卒業生を中心とした大学生に運営メンバーとして授業運営に携わってもらい、生徒にとってはメンター・ナナメの関係の方々と一緒に授業を創ることを大切にしてきました。いわゆるワークショップ型の授業です。

しかし、このような社会情勢の中、大前提として授業が実施できなくなり、今後もどのように学校が再開されるのか見通しが取れなくなっていました。そのような中で、今年度は3名の大学生、オブザーバーとして1名の大学院生、1名の社会人、そして共同研究者として1名の大学の先生とともに授業をどうするかを定期的にオンライン上で会議をしてきました。4月中は、オンライン上でできるコミュ力アップの練習やアイスブレイクなどを考え、今後学校がどのようになっても対応できるように私たち自身がオンラインにも慣れ、またさまざまな想定をしていきました。そして、勤務校が5月に「動画配信」を実施することが決定すると、その「動画配信」に合わせて、本授業でも動画を製作しようということになりました。ただ、学内での公式動画配信で運営メンバーの大学生たちを出演させることはなかなかハードルも高く、イラストと声のみの出演など、制約が非常にありました。また、6月以降現時点ではどのように学校が再開されるかも微妙なところですし、たとえ再開されたとしても分散登校や時差登校、短縮授業などが想定され、いわゆる学校設定科目の授業は再開後も通常通りに再開されることはだいぶ先になることが予想されました。

そのような中、運営メンバーとの打ち合わせの中で制約がある動画配信や今後どのように学校が再開されるのか不透明であるならば、いっそ自分たちでオンデマンド型の授業を発信しちゃおう!ということになり、誕生したのがYouTube公式チャンネルでした。そちらであれば、個人的に動画を配信しているだけですし、チャンネル登録も生徒たちに委ねられます。それでいて、私を含めて運営メンバー自身のスキルアップにもつながります。運営メンバーもそれぞれの特性を活かして、動画編集担当の学生さんは有料のソフトを購入して動画編集スキルをあげ、またコンテンツを担当する学生さんは何度かリハーサルを行うだけでそのプレゼンスキルがみるみる上達していきました。また、そのようなことをしていたら、なんと外部のオンラインイベントに誘われて、そのオンラインイベントで実際に授業(ワークショップ)をやらせてもらう機会もいただきました。さらに、おまけに学生さんたちはオンライン上で各グループのファシリテーターも担当することになり、大変だと思いますが間違いなく良い経験になりそうです。

正直、私もこのような状況になってこの学校設定科目の授業がどうなるのか…悩んでいました。ただ、運営メンバーの学生さんたちに感化され、私ですらほとんどやったことがない動画編集をしたり、オンライン上でのワークショップの設計を現在勉強しています。

こういう時こそ、本当に自分が試されているなぁと感じますし、このようなメンバーがいるからこそ自分が成長させてもらえているなぁと感謝しかありません。

運営メンバーの大学生たちは現在大学のオンライン授業が始まり、ただでさえいつもよりも大変な思いをしています。でも、そのような中でも授業が終わってから、夜遅くに会議をして、前向きに取り組んでくれています。やはり、こういう次世代の前向きな姿勢って素晴らしいですよね。このような次世代のヤル気を私たちの世代はマウンティングをして潰すのではなく、後押しをして、もちろん変な方向に進みそうな時にはきちんとアドバイスをしてより良い方向にサポートしてあげたいなぁと思います。

さて、せっかくYouTube公式チャンネルが開設したわけですから、今後はコンテンツ(動画)をどんどん増やして、チャンネル登録者数も増やし、ひとりでも多くの生徒、そして一般の方に彼らの頑張りを見せてあげたいですね。